しつっこく、国立西洋美術館の話題です。
特別展が開催されている場所は、地下展示室になっていて、その屋上部分が、ロダンの考える人などの彫刻がおいてある前庭になっているとのこと。 今回のリニューアル(屋上防水を更新)で、ル・コルビュジエの本来の設計意図が正しく伝わるような形で、前庭を本館開館時の姿に可能な限り戻すこととしたそうです。
ル・コルビュジエが意図した開館時の正門は西側(上野公園の噴水広場側)にありました。 この入口側から進むと、ル・コルビュジエの設計意図を感じることができます。
西側の門から一直線に伸びる線の先に《地獄の門》があり、右手に《考える人》、左手に《カレーの市民》を鑑賞しながら歩くと低く長い壁に遮られ、そこで床の線は左に分岐して本館に誘うように出来ている
コルビュジエが考案した尺度「モデュロール」による、来館者の誘導機能をもった床の目地も細部にわたり復元が行われた。
前庭のリニューアルに合わせて、同館を設計したコルビュジエの絵画作品を紹介する小企画展も開催されています。
建築家・画家、ル・コルビュジエの晩年の絵画・素描を紹介する小企画展です。
調和にむかって ル・コルビュジエ芸術の 第二次マシン・エイジ−大成建設コレクションより
2022年4月9日(土)〜9月19日(月) 国立西洋美術館新館1階第1展示室
大成建設株式会社、西洋美術振興財団
左上のタペストリー《奇妙な鳥と牡牛》など、素晴らしかったです
常設展も見てきました。 1点だけ掲載します。とっても美しかったので
カルロ・ドルチ《悲しみの聖母》(1655頃)
聖母の青衣には、半貴石・ラピスラズリから作る天然ウルトラマリンブルーが使用されていることが確認されたとのこと。
金と同じ値段で売られたという天然ウルトラマリンブルーは、イタリアにおいて特に聖母の衣に用いられてきたが、経済的な理由から、下の層はより安価な青色で塗って、表層だけに天然ウルトラマリンブルーを重ねた作品例が多数知られているところ、本作では、下に他の青色層はなく、天然ウルトラマリンブルーだけが用いられている可能性が高いことが分かったという。
また、光輪には金箔が使用されるなど、総じて高価な材料を用いた作品といえるとのこと。
隣のケースには、本作で使用されている色材が参考展示されている。
国立西洋美術館 本館「19世紀ホール」
国立西洋美術館の建設にあたり、前川は実施設計と現場監理を担っていました。
そして、東京文化会館の設計にあたっては、向かい合う国立西洋美術館との調和に配慮したとされています。
その特徴は、
@軒の高さを揃えた、
A前庭の目地割りと文化会館のサッシ割り付けを合わせた、
B外壁の質感を合わせた、
といわれています。
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